さて、先日話題になっていましたプロジェクトの記事を書きます。
- 可能性を模索し続ける!! 『電脳世界』に情熱を燃やす人々の物語
- 『電脳戦機バーチャロン』新作に対応したジョイスティック
- 始まりはツイッター
- 社長の熱い思いがプロジェクトを動かす
- 手探り状態からプロジェクト始動 しかし無念の不成立
- そして再び幕は上がる 『タニタ』入魂の再チャレンジ
- 予想外の援軍 ついに『成立』のベルが鳴る
- ポイントはやはり熱意と周囲を巻き込む事
可能性を模索し続ける!! 『電脳世界』に情熱を燃やす人々の物語
皆さん、体組成計の『タニタ』はご存知ですよね。

タニタ 体重 体組成計 日本製 BC-705N WH 乗るピタ機能で簡単測定
- 出版社/メーカー: タニタ(TANITA)
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: ホーム&キッチン
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そして、ゲーム好きの方で『SEGA』を知らない方はいないでしょう。
メガドライブ、セガサターン、ドリームキャスト。
ゲームの開発元だけではなく、家庭用ゲーム機の会社としても一時代を築きました。
一見、なんの接点もない会社が、ある日こんなプロジェクトを立ち上げました。
『電脳戦機バーチャロン』新作に対応したジョイスティック
『タニタ』が、なぜゲーム機のジョイスティックを?? 今日はこんな話をしていきます。
始まりはツイッター
元々、企業ツイッターでのやり取りが始まりだったそうです。
ネット上のコミュニケーションを重ねるうちに、両社がリアルでの交流も生まれ、なんとセガの名作『電脳戦機バーチャロン』を両社の社員が対戦する大会まで開催されます。
弊社より強い御社がそこにいる。タニタとセガで新春バーチャロン大会開催! - Togetter
そして、両社の交流からこんな製品が生まれました。
セガサターン 体組成計
確かに同じ四角ですが、振り切った製品です。
社長の熱い思いがプロジェクトを動かす
実は上の写真でスティックを握る人物(向かって右)が、『タニタ』の社長、谷田千里氏です。
谷田社長は大のバーチャロンファンらしく、この度PS4タイトル『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』で復活した事を心から喜んでいました。
しかし、ゲームへの没入感、臨場感を味わえる専用コントローラーが、過去タイトルと違って生産されない事を、とても残念がっていました。
セガ側でも専用コントローラーは検討はしたのですが、実現は難しい、との結論にいたっていたようです。
そこで一念発起。健康総合企業『タニタ』は、ゲーム業界をあっといわせるプロジェクトの始動を宣言したのです。
単にゲームが好き、というだけでなく『日本の製造業の活性化』『クラウドファンディングの可能性の模索』を掲げて、プロジェクトは始動しました。
手探り状態からプロジェクト始動 しかし無念の不成立
近年、タニタ食堂など新業態へのチャレンジが著しいとはいえ、まさか対組成計の会社がゲーム用コントローラーの開発に乗り出す事は驚きを持って迎えられました。
目標金額は前代未聞の270,000,000円。
目標台数は脅威の5,000台
ツインスティックの価格は一台49,800円(税別)
1プロジェクトで1億円集めれば、購入型クラウドファンディングでは国内最大級となるなかで、異例の目標金額設定となりました。
しかし・・・。
支援金額は8400万、支援者は1600人で募集期間終了。
プロジェクトは無念の不成立、となってしまいました。
ただし、終了にあたり『タニタ』の担当者はこんな言葉を残します。
TANITAツインスティック・プロジェクト。
終了から10日が経ちました。
今回、残念ながらクラウドファンディング不成立となりましたが、
もう少しだけプロジェクトは継続し、可能性を模索していきます。
ぜひ、続報をお待ちいただければと思います。
そして再び幕は上がる 『タニタ』入魂の再チャレンジ
プロジェクト終了後、3ヶ月の月日が流れました。
ゲーム業界に強烈なインパクトを残した『タニタ』の挑戦は、プロジェクト不成立のまま、終わる訳がありません。
なんとプロジェクト終了後から再検討をはじめ
①本体部分の部材と製造方法の変更により、小ロットでも低価格な生産を実現
②あらゆる部品の汎用品の流用
などを行い、堅牢性はアップしつつお買い求め易い価格を実現します。
そして、目標金額4460万円、目標台数1000台、だけど価格は39,800円(税抜き)と、前回の課題をクリアしつつ、プロジェクトを再起動させました。
ちなみに、『タニタ』さんのために付け加えておきますが、決して質を落とした訳ではなさそうです。
詳細はプロジェクトページ(https://camp-fire.jp/projects/view/95196)に載っていますが、ボタンなどを一般のゲーム筐体などに使用される汎用品に変えれば、専用設計品に比べて、かえって質が高くて低価格が実現できるのは納得です。
そして、筐体を樹脂製から金属製に変更していますので、原材料は一般的に高くなります。しかし樹脂製品は、形をつくる(成形)ために、まず『金型』を必要とします。この設計から金型製造までの製造費が、一般消費者には分かり難いですが、結構お金が掛かる部分ではあります。
(ボタンも含む各樹脂パーツを専用設計で金型から作ろうとしたなら、相当なチャレンジャーだと考えられます)
思い切って樹脂成形(射出成形と書かれています)をやめて、金属板を折り曲げるプレス加工に変えたのは、『タニタさん頭いい』と感じます。ただし、樹脂製に比べて取り回しは重くなる可能性は捨てきれません。が、据え置きコントローラーですので、激しい操作でも重心が安定して、使い心地が向上する可能性は高いです。
予想外の援軍 ついに『成立』のベルが鳴る
本体価格も値下げし、目標金額も6分の1まで落としての再チャレンジですが、開始から順調に支援金を集めていました。そこに『セガ』から吉報が届きます。
なんと、セガより『電脳戦機バーチャロン』シリーズ3作が、PS4に移植が決定しました。タニタの熱意と、バーチャロンを愛するファンの想いが、ついにセガを動かしたのです。
電脳戦機バーチャロン シリーズ公式サイト / CYBER TROOPERS VIRTUAL-ON SERIES OFFICIAL SITE
この発表を受け、目標支援額は増加の一途を辿ります。そして、開始わずか11時間46分という短い時間で、4600万円の目標支援額は達成されました。
ポイントはやはり熱意と周囲を巻き込む事
クラウドファンディングの様々なプロジェクトがある中で、目標金額を上回るもの、下回るものそれぞれです。今回の『タニタツインスティックプロジェクト』は、元々発信力のある会社のプロジェクトのため、世間への周知が容易だった部分もあります。
しかし経緯を追っていくと、無謀かもしれないけどお客様のためになる挑戦がそこにあります。また、最初のプロジェクトは明らかに『自分の作りたいものを作ったら、お金がこれだけ必要だ』というプロジェクトでした。しかし、一度目の挑戦で得たものをきちんとフィードバックして、改善する所は改善する。この過程を公開することにより、より支持を得る事ができたのでは?と考えられます。
無事成功に終わった『タニタ ツインスティックプロジェクト』でしたが、今回の挑戦をみた多くの企業が、次は自分たちも、と考えてくれる事を、心より期待しております。